【消費税25%!】スウェーデンにおける生活保障の確立


スウェーデンの消費税は25%!

高福祉国家として有名なスウェーデンは、消費税が25%(食料品などは12%、新聞などは6%)である。

また、消費税だけではなく、地方所得税は一律30%程度、法人税率22%、相続税0%。これでGDP比で27%の社会保障支出を支える。税を「第二の財布」とみる国民の支持は高く、スウェーデン国民は行政に対する信頼も高い。これが、消費税25%の実現を可能にしている。

信頼の要因として、スウェーデンでは、政治スキャンダルはほとんど起きない。仮に起こってしたら、それに関連する政治家は厳しく弾劾される。

消費税を10%にするか否かで議論をしている日本から見ると、25%というのはあまりにも高額だ。消費税25%を用いて、政府は国民にどのような公共サービスを提供しているのか。

スウェーデンの社会保障

▼ここに書いてあることは、この本に書かれていることを参考にしています!▼

①教育への援助

20歳までは学習援助金、20歳を超えて大学進学等を行うものには就学支援金というものが渡される。

で、これは大学に通うときの学費に充てるもの….ではない!これは学校生活を送る際の生活費として支給されるものである。スウェーデンは、授業料が無料だ。

もう一つ、スウェーデンでは労働市場と教育現場を行き来することができるリカレント教育制度が整っていることから、社会に出て感じた、自分に必要な知識・スキルを教育現場で再び学び直すことができる。

②家族への援助

両親保険:1974年に導入され、この保険により両親等しく育児休暇の対象になる。480日のうち390日間は従来の所得の8割を保障。

就学前教育:1歳から5歳までの82%が就学前教育を受ける。目的は、ものごころがつく前に適切な教養を身に着けてもらうことと貧困対策である。

③積極的労働市場政策

対GDP比1.5%程度の支出で公共職業訓練やOJTの支援

→失業をしてしまった人に対しては、職業訓練を通して市場で活躍ができる人に育成し、人手を必要とされている現場とマッチングさせる。

→スウェーデンでは、完全雇用に力を入れつつ、職業訓練を行うことで個人のスキルアップを実現

サプライサイドの雇用政策

→これにより、公共投資などによるインフレ拡大も、緊縮経済による失業拡大もともに回避して、完全雇用を維持しながら経済成長を実現させる

レーン・メイドナーモデル)

④社会サービス法による高齢者・障害者の社会参加

老人ができる限り地域で自立した生活を営むことができるように必要に応じたサービス共有を行う。就労・ボランタリー活動・余暇活動等を通して、高齢者が社会とのつながりを持ち続けられるような環境整備を行っている。

障害を持った方も、「すべての者に雇用の機会を」というスウェーデン労働雇用政策にのっとり、障碍者に対しても職業紹介サービスを提供している。また、健常者と同様な普通の生活をしていけるような支援が行われている。

スウェーデンの福祉はどうやって拡充してきた?

背景:
1930年代の人口危機=急激な人口減少が予測されている事態に!(日本の状況を50年ほど先取りしていた!)
<<参考:スウェーデン統計局によるデータ>>

出生率(青(と死亡率(赤)の推移。1930年代は出生率が20年代と比較して大きく下落している。

人口問題委員会

ミュルダール夫妻の戦略『人口問題の危機』(1934年)

当時の国会:人口問題をめぐる対立

保守勢力:プロナタリズム(出産奨励主義)

労働運動:新マルサス主義(人口増加が労働市場の競争激化につながる)

→ミュルダール夫妻が両陣営の妥協としての福祉国家を建設していくことを目指す「媒介者」を演じる。スウェーデンで夫婦が3人の子どもを持つための諸手当や住宅条件などを提示する。

*補足*

人口を増やすためには、2人の両親から3人以上子どもが生まれなけれなければならない。(一人なら人口は半減、二人ならほぼ現状維持)

当時は依然として第一次産業人口の比率が高い中で、人口増加という民族主義的な関心を福祉国家の発展に結び付ける戦略を採用した。

→普遍主義的福祉政策(所得に関係なく手当てを出すこと)がはじまる。

*アメリカの選別主義とは対照的

<<施策>>

・1937年の出産手当(1割程度の高所得層を除いてほとんどが受給)

・住宅貸付募金、孤児や寡婦などを対象とした児童手当の導入

・避妊具販売の自由化や女性労働者を結婚・妊娠等の理由で解雇することが禁じられる。

人口問題調査委員会

1941年には人口問題員会を継承する第二次の調査委員会、人口問題調査委員会が設置

<<施策>>

・1948年の児童手当(普遍主義的な制度設計、所得制限なし)

*スウェーデンでは、子どもが5人以上生まれると、手当だけで生活ができてしまうのだとか!

・国民年金制度、医療保険制度が同じく所得制限なく所得比例給付(給付が所得の量に比例)で導入(1952)

→普遍主義的福祉の確立

ただし、1950年代に入ると、社会が豊かになってきたこともあり、「もはや福祉国家は縮小するべし!」という声が保守党や自由党から出てくる。

そんな中、T・エルランデル首相が1962年に発表した著書『自由選択社会』にて

「豊かな社会においては個人の自由と公共の責任が一体となっている。個人の自由は、福祉国家の提供する教育、医療、交通、各種サービスなどに支えられ、さらに福祉国家が実現した労働時間の短縮や長期休暇を活用することで初めて可能になる」

という考え方を提唱。

所得保障の考え方に対立が起こる中、年金問題をめぐる調査委員会の議論も行われる。何の議論かというと、

・年金の最低額を保証する(=最低保障年金

・所得に応じて年金が増えていくことを保証(=公的な所得比例年金

のどちらの制度をスウェーデンの年金制度として採用するかである。

国民投票まで行われた末に、公的な所得比例年金が採用された。結果的にスウェーデンの社会保障支出が増大したが、この制度はホワイトカラーから支持を受けている。

こうして、普遍主義的福祉国家が確立してきたが、新たな挑戦を受ける。

工業社会から知識社会への転換であり、労働力需要の拡大にいかに答えるかという課題である。そして、1970年代以降は、所得保障よりも公共サービスに比重を置きつつ、エルランデル首相の「自由選択社会」の理念を拡大させた。

幼保一体化の保育サービス拡充

1960年代の経済成長時代、ドイツのように外国人労働者によって労働力を賄うのではなく、女性の就業率拡充が目指される。そのために、幼保一体化による保育サービスの質向上が行われる。

保育サービス拡充だけではなく、女性の育児休暇の充実(男性にも1995年からパパ・クォーター制導入)と、女性にも就労を促す個人単位課税も相まって、女性就業率はU字型のカーブを描いている。

教育制度の革新とリカレント教育の導入

1968年 保育士等の専門知識を身に着けることができる自治体成人教育を導入

1977年 高等教育法では、就労と高等教育の行き来を強めるリカレント教育の理念が明確に打ち出される。25・4ルール(25歳で4年間の職業経験)を拡張する。

スウェーデンは、大学の授業料が無料であること、リカレント教育中の生活支援制度もあって25歳以上の大学生比率は61.8%に及ぶ。

まとめ

・スウェーデンが福祉拡充を始めた起点は、「人口減少」を起因とする人口危機から!

・消費税25%は、雇用・教育・家族、社会保養、失業・離職に利用されている!

<<参考資料>>

・宮本太郎『福祉国家という戦略』

・女性労働と諸施策-なぜあの国の女性は「働き者」なのか

女性労働と諸施策-なぜあの国の女性は「働き者」なのか|採用ノウハウ
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